この度、[A03](東京藝術大学寮 藝心寮内)において、ドイツを中心に活動している「Christoph Dahlhausen(クリストフ・ダフハウゼン)」− travelling light − の展覧会を開催する運びとなりました。この企画は、2021年最後の”海外アーティストシリーズ”として、11月26日(金)〜12月12日(日)の会期で開催致します。 皆様お誘い合わせの上、ご来場ご高覧いただきますよう心よりお待ち申し上げます。 今回の展覧会では、[A03]の狭小空界内を「光のインスタレーション」で展開します。[A03]内に建築足場用の3本の単管を直角や鋭角に接続し、ドイツより特別に空輸された220ボルト専用の青い蛍光灯を加え構成致しました。
2本の単管は[A03]の空間内に対角線上に鋭角に隅から隅まで傾き、垂直に立ち上がる3本目の単管によって空間が三角形に分断されています。それぞれのポールには青い蛍光管が1本ずつ接合され、空間の背後を青く浮かび上がらせます。
この青い光は、ある種の軽さとわずかな重さを持っているようです。それは鉄製の単管の重さ、鉄で構成された[A03]の壁の重厚さにあり、「軽さ」「重さ」が、顕著なコントラストとして鑑賞者の網膜の錯覚に機能しています。さらに青い光は、[A03]の赤褐色化した鉄の特徴と強烈な色のコントラストに成功しました。
[A03]の“travelling ligh”のインスタレーションは、壁や部屋に描かれたドローイングのように見え、その情景は作品の彫刻的視点と絵画的視点の同時性の錯覚体感として極めて重要かもしれません。壁に寄りかかっている3本の単管は一見絵画のようでありながら、鑑賞者の移動によって同時に空間を三次元化した彫刻としても機能しています。鑑賞者は初めに、[A03]の特殊な空間を移動しながら物体感を感じると同時に、空間内側に視点を移した、“壁や空間に色がどのように広がるのか” という絵画のアイデアを扱ったカラーワークの変貌に気付かされます。第二段回目で単管の直線を描く空間ドローイングとして現れ、最終段階にサイトスペシフィックな彫刻作品として展開し、実体験として記憶にとどまることでしょう。
これらのインスタレーションは、平面のドローイングから構想されていますが、実際に[A03]の空間に設置するまでの制作過程で二次元から三次元へと変化していきます。 夕暮れ時には、[A03]の照明の雰囲気と作品の特徴も変化していきます。単管の構成体は、昼間は明らかな線が織り込まれていますが夕暮れになるとその線は緩やかに消えていきます。蛍光管の青い光は一段と強まり、無重力の線として部屋の中に浮かんでいるように見えることでしょう。クリストフ・ダフハウゼンにとって、これは彼の作品に内在する詩的な性格を強調する「一過性の瞬間」であります。鑑賞者は日々の時間軸の何時の瞬間に訪れ、そして何を体験するのか。徒然の織りなす”青い光”の師走の情景です。
ご高覧に際し、前日までの観覧予約とマスクの着用をお願い申し上げます。 皆様、ご予約の上、ご高覧いただきますよう重ねてご案内申し上げます。 [A03] 主宰 福田周平
展覧会詳細
展覧会: 「Christoph Dahlhausen(クリストフ・ダフハウゼン)」− travelling light −
会期: 2021年 11月26日(金)~12月12日(日)
午後3時~午後6時
*ご高覧にあたり前日までにE-mailにて鑑賞前日までのご予約が必要です。
コロナ禍にあって、ご希望に添えない場合もございます。予めご了承下さい。
会場: 120-0003 東京都足立区東和3丁目12-30
藝心寮内アトリエA棟03号
予約: E-mail: shuhei.199431sh@gmail.com
問合せ: Tel: 080-2085-0432(福田)
特記: A03 オープン記念企画(日本) Vol.10
参考資料:
Christoph Dahlhausen(クリストフ・ダフハウゼン)
ダフハウゼン氏は画家として出発しましたが、当初から絵画のプロセスを根本的に要素化することを志向していました。その後、キャンバスに描かれた絵よりも、キャンバスの枠の下端から放射される色のついた光が、彼を魅了することを発見し、色と光、そして周囲の空間との相互作用という絵画の基本的な考え方を、具体的に探求する道が開かれました。それ以来、ダフハウゼン氏は、工業的に製造された機能的な要素を使用し、1996年に制作された作品群を「“unscientific evidence of light” - 非科学的な光の証明 -」と呼び、それらは主に「光の証明」を示すためのレディメイドとして広く展開しています。
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